2023-07-13から1日間の記事一覧

火が見えないと、ぼくはなんだか友だちの姿が見えないみたいで悲しくなる。火にもちゃんと顔があるのだ。ぼくたちは夕方仕事から帰ると、火を見つめて、その日一日で心にこびりついた土や泥を払い落とし、清めていた。

ぼくにとっては、自給自足の生活こそが、どんな仕事より自由に見えた。なにしろ、年に三十~四十日働ければ、あとは自分の好きなことをして暮らせるのだ。自給自足の生活は、太陽が沈むとともに終わり、あとはなんの気兼ねもなく自分の趣味に没頭できる。そ…